海外不動産案件へ投融資する際の注意点

私は銀行員時代にニューヨークとロンドンのオフィス物件を担保とした融資をしていたので、その経験を踏まえて今回は海外(特にアメリカ)の不動産への投融資案件について調べてみました。

クラウドバンクのHPからお借りしました。
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現在募集中の案件

現在募集中の海外不動産案件をいくつかピックアップしました。この他にガイアファンディングもありますが全案件で延滞を起こして募集停止中です。

案件の共通点

これらの案件には以下の様な共通点があります。

  • 物件所在地がカリフォルニア州の案件が多い。
  • 開発案件が中心で安定稼働中の物件への投資案件は無い模様。
  • 運用期間は概ね1年程度。
  • 運用利回りは10%前後。
  • 為替リスクはヘッジ有り・無しの双方がある。

投融資する際の注意点

主な注意点をまとめました。

① アメリカの不動産開発案件のリスクは全般的に日本より高い
工事の遅延、コスト超過などは珍しくありません。マンハッタンのオフィス開発案件で実際に起きた話ですが、工期が平気で1年くらい延びます。当事者と話しても「仕方ないよね」という感じです。ゼネコンが工程をコントロールする日本では考えれない事です。アメリカにも元請け事業者はいるものの複数の事業者を全てコントロールしきれない様で、工期・コストが守られないことが起きます。

② 融資期間に余裕がある
開発案件に融資する金融機関も上記①を理解しているので、 融資期間には余裕があるか、延長オプションがついています。金融機関は事業者の信用力と実績(スポンサー・クレジット)を重視します。開発案件は基本的にノンリコースローンなので、案件が失敗してもスポンサーへ遡求(返済を督促する事)が出来ないのでリスクが高いと判断して取り組まない金融機関もあります。

③ アメリカの法制度は独特
例えば登記制度は一応あるものの、いわゆる「公信力」はありません。そのリスクを民間保険会社の保険(Title Insurance)でカバーするという驚きの制度が存在します。

④ 為替リスク
為替リスクがヘッジされている案件もありますが安心できません。ヘッジ契約の相手方の信用(≒倒産)リスクを負うからです。更に案件が上手くいかず全額回収できない場合に、ヘッジした金額と不一致が発生し追加で費用負担が発生するケースや、延滞が発生してヘッジ契約期間が切れてしまい、ヘッジ無しの状態に陥る場合も想定されます。

⑤ 募集した事業者は期中管理が大変
法制度・言語・文化の違い、物理的な距離(時差)などが原因となり、コミュニケーションが上手くいかないことも多いです。

まとめ

上記の注意点を踏まえると、例えばガイアファンディングの案件で建築・売却などに想定以上に時間が掛かっている事や、現地との簡単なコミュニケーションにすら手間取る事などは、ある意味当然ですので、その辺りを上手に管理できないガイアはイマイチという結論になります。

ちなみにカリフォルニア州の案件が多い理由ですが、人口 (住宅需要) が増加している事と、土地が確保しやすい(安い)ためと考えられます。土地が確保しやすいというのは不動産投資にはマイナスです。後から競合物件が次々に供給される可能性が高いからです。

借り手は恐らく現地の金融機関から借り入れが出来ない信用力が低い事業者であると思われますので、開発や売却プロセスで問題を起こす可能性が潜在的に高いと考えるべきです。

海外不動産案件は特有のリスクが存在します。投資に当たっては上記の様な点を十分に検討すべきです。個人的な意見ですが、海外不動産案件への投融資はまだ時期尚早かなという結論です。