トラストレンディング事件について ⑥

エーアイトラストは今週も金曜日に重大発表を行いました。

今週のリリースはこちらでした↓

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行政処分の内容

リリースを要約すると以下の通りです。これまでに指摘されている問題点について、行政処分として金商法の登録を取り消されました。当然の展開です。

以下の問題が確認されたので、エーアイトラストは行政処分として金商法上の第2種金融商品取引業者としての登録取消及び業務改善命令を受けた。

確認された問題点
・高速道路工事請負代金債権担保ローンファンド

存在しない架空の工事案件について投資家から資金を集めた。

・公共事業コンサルティング債権担保付ローンファンド
存在しないコンサル事業について投資家から資金を集めた。

・燃料売掛債権担保ローンファンド
何ら根拠が無いにもかかわらず当該事業が継続的に成長できるかのような誤解を与える表示を行った。

・ファンド資金が流出、エーアイトラストの管理体制不備
上記案件を紹介した元取締役の山本氏がファンド資金のうち少なくとも15億8,000万円を山本氏が実質的に支配する法人へ流出させた。エーアイトラストは、これら問題点の実態把握や管理体制を構築していなかった。

トラストレンディングの対応は?

行政処分を受けて今後の対応は以下のようになります。新規営業は停止、既存案件の回収に注力するという内容です。

  • 新規会員・新規ファンドの募集は行わない。
  • 既存ファンドの運用、資金回収に注力する。
  • 各ファンドの運用状況、資金回収のための訴訟・協議などの進捗を適宜報告する。

トラストレンディングは今後どうなるのか

エーアイトラスト(トラストレンディング)はこれからどうなるのでしょうか?ここからは私の個人的見解です。

まずはっきり言えるのは、トラストレンディングは以下の役割を果たすためだけに存在する単なる「箱」になると思います。

・債権回収をする(大半の債権は回収できない可能性が高い)
・投資家の怒り(民事訴訟)を受ける
・更なる行政処分を受けたり、刑事事件(詐欺罪等)の当事者(被告)になる

そして債権者から訴訟を起こされ、会社資産(もしあれば)が差し押さえられて実質的に経営破綻するという展開が想定されます。

残念ながらエーアイトラストを信じた方には大変ひどい展開が待っていると思います。

エーアイトラストにとってはシナリオ通り?

一方でエーアイトラスト側から見れば、これもシナリオ通りかもしれません。

つまり、エーアイトラストは自らの管理体制の不備はともかく、今回の事件は山本元取締役が一人で引き起こしたかのような雰囲気づくりに腐心しているように見えます。

山本氏はスケープゴートにされただけで、本当は会社ぐるみで事件を引き起こした可能性があると私は思います。会社ぐるみの組織的な詐欺です。

普通に考えて美味しい投資案件が世の中にそんなにあるとは考えられませんから、エーアイトラスト側は山本氏が天才的な案件創出能力を有している訳ではないと早い段階で気づいたはずです。

以前の記事↓でエーアイトラストの松本社長はグレーな人物だと書きましたが、 山本氏の不正に気づかない振りをして案件を組成し続けた理由は、エーアイトラストも山本氏とグルになったからではないでしょうか。

この事件の真相を解明するには、民事で損害賠償請求訴訟を起こすだけでは不十分で、警察による刑事事件としての捜査が必要だと思います。

金融庁にはしっかりしてほしい

私は金融庁の監督を受ける銀行で働いていたので、その時の感覚で申し上げると金融庁は次のように考えていると思います。

  • トラストレンディング事件はこれでひとまず幕引き。あとは民事と刑事で当事者が好きにやればよい。
  • 少なくともほとぼりが冷めるまでは、ソーシャルレンディング事業者について金商法の新規登録はさせない。
  • 国会で野党に追及されないように、事業者が悪い(金融庁は悪くない)という世論作りを頑張ろう(既にNHKニュースでこの動きが見られました)。
  • 既存事業者への監視を厳しくして、積極的に取り締まっているとアピールしよう。

なんとも情けない話ですが、これが実態だと思います。

ソーシャルレンディングは個人投資家の資産運用の新たな選択肢になる大事な分野です。金融庁にはその目を摘まないように金融行政を行ってほしいです。